【不動産の証券化は金融の錬金術ではない】「これで金融機関の不良債権問題解決にインパクトを与える。土地価格が本来あるべき姿に戻るきっかけになるはずだ」-これは、政府が九七年三月三一日に発表した担保不動産流動化総合対策についての大蔵大臣のコメントです。驚いたことに、大蔵大臣は不良担保不動産が流動すれば、地価はまた上がると思い込んでいるのです。不動産流動化のメカニズムについて、大蔵大臣からして大きな勘違いをしているわけですから、政府の政策主導でいっても日本の土地が動き始めるわけがありません。実に情けないことです。日本に本格的な不動産の証券化市場が育たない最大の理由は、証券化こそ不良債権を処理する有力な方法だという間違った先入観を、多くの当事者が持ち続けているからです。冒頭の発言は、日本の金融当局の無知だけではなく、日本の金融市場および不動産の証券化市場そのものが未熟なままで、かつ当分発展する見込みがないことを海外の投資家にまで広めることになりました。日本の証券化市場は、アメリカと比べて数十年遅れていると見られても仕方のないところです。